野々宮 鮎美ノノミヤ アユミ |
---|
所属学部・学科等
- 文学部 総合人文学科 英米文学英語学専修
職名 (資格)
- 准教授 2022年 4月 1日
出身学校・専攻
- University of Sheffield School of English Literature, Language and Linguistics2017年
取得学位
- Ph.D. University of Sheffield
- 修士 東京大学
- 学士 東京外国語大学
研究業績
論文Second person pronoun ye in George Bernard Shaw's plays査読有野々宮 鮎美近代英語研究37,,19-422021年7月 本稿ではバーナード・ショーの戯曲における二人称代名詞yeの用法を、電子テキストを使用して調査した。大きく分けて3つの用法が確認された。1つ目はスコットランド英語およびアイルランド英語としての用法で、両者の間には若干の違いがみられた。2つ目はyouの弱化した発音 [jə] を表す用法で、特に d’ye という組み合わせで現れた (cf. Nakayama 2014)。3つ目は古風な二人称代名詞としての用法で、古い時代が舞台の作品や、話し手が高位の外国人(ズールーの王など)である場合に用いられた。これらの調査結果により、yeはショーの時代の日常会話では廃れてしまったものの、演劇の中では未だ多様な機能を担っていたといえる。
論文Oxford Beginner's Japanese Dictionaryの問題点 (ことばのあるべき姿を求めて)野々宮 鮎美ことばと文字,14,128-1372021年4月 日本語学習者向け英和・和英辞書 Oxford Beginner’s Japanese Dictionary (OBJD) を通読し、誤りなどの問題点を調査した。誤植、誤訳、漢字の間違いなど多様な誤りが数多く見つかり、和英では全体の1%を超える見出し語に誤りが見られた。練習問題も辞書から得られる情報だけでは解けないものがあった。また、自動詞・他動詞の区別の仕方が見出し語「自動詞」にあるのも問題である。初級学習者ではこれらの誤りに気付かないと思われるので、早急な改訂が望まれる。
基調講演The use of thou in George Bernard Shaw's Plays野々宮鮎美HiSoN 20212021年3月 18日
著書Enregisterment of thou in eighteenth-century plays野々宮, 鮎美開拓社xvi, 256 p.2021年1月 30日978475892295118世紀英国戯曲におけるthouの用法を電子コーパスで調査した。喜劇では頻度が非常に低い一方、悲劇では高頻度で現れるのは、エリザベス朝演劇の影響で「(崇高な)戯曲の言語」としてのレジスター化(enregisterment)が起こったからだと論じた。呼びかけ語および二人称代名詞you, yeの調査も行い、喜劇ではthou/youの切り替えではなく呼びかけ語で人間関係の変化を表していることも分かった。
論文書評 Kate Burridge and Alexander Bergs, Understanding Language Change野々宮 鮎美英文学研究96,,166-1702019年12月 10.20759/elsjp.96.0_1660039-3649
基調講演Oxford Beginner's Japanese Dictionaryの問題点野々宮鮎美日本語教育、文法研究会 第2回 熊本国際大会2019年8月 31日熊本県立大学
基調講演The Two Types of Ye in Eighteenth-Century Dramas野々宮鮎美6th Late Modern English Conference (LMEC6), Uppsala University2017年8月 ウプサラ大学
基調講演18世紀戯曲に見られるthouとyou野々宮鮎美近代英語協会第34回大会2017年6月 近代英語協会青山学院大学18世紀戯曲における二人称単数代名詞thouとyouの使い分けを、特にジャンルの違いや登場人物の階級差に着目して論じた。喜劇ではthouの割合が15%未満で、thouは「感情の高まり」を表すために使われていた。一方、悲劇の多くではthouの割合が40%以上であり、4作品では70%を超えていた。悲劇におけるthouは、強い感情を表す用法だけでなく、現代英語にもみられる「古風な言葉、芝居がかった言葉としてのthou」という用法でも使われていることが分かった。
論文Second Person Pronouns in Eighteenth-Century DramasNonomiya, Ayumi,,-2017年6月 18世紀イギリスの戯曲における二人称代名詞(thou, you, ye)の使い分けおよび呼び掛け語について調査した。二人称代名詞に関する調査では、thou/youの使い分けには悲劇/喜劇というジャンルや、散文/韻文という媒体が大きな影響を与えることが分かった。二人称単数代名詞yeは本来の二人称単数主格代名詞としてではなく、youの口語的な発音を表すのに用いられていた。呼び掛け語の使用率は悲劇よりも喜劇において高かった。
芸術活動'Arts and Humanities Research Culture in Japan.' Research Culture Database, White Rose University Consortium.Anya Benson, 野々宮鮎美2016年White Rose University Consortium(シェフィールド大学・リーズ大学・ヨーク大学による大学連合)のRAとして、日本への留学を考えているイギリス人大学院生向けに日本の学校制度などを紹介するデータベースを編纂した。
基調講演Second Person Pronouns in Eighteenth-Century British Dramas野々宮鮎美Personal Pronouns in Linguistics and Stylistics, École Normale Supérieure de Lyon2014年4月 リヨン高等師範学校18世紀イギリスの戯曲における二人称代名詞thouとyouの使い分けを論じた。悲劇における用法に着目すると、大部分は身分の高い者から低い者へと使われていたが、身分の低い者が高い者に使う用例も散見された。登場人物同士の関係や文脈を精査することで説明できるものが多いが(階級の違う親子間の会話など)、説明のつかない用例もあり、初期近代英語に比べるとthouの用法が崩れていたのかもしれない。
基調講演'Sir!' 'That damned monosyllable has froze me!' – Speakers’ Choices of Second Person Pronouns and Address Terms in 18c British DramasNonomiya, AyumiPostgraduate Politeness Conference, Sheffield Hallam University2014年3月 シェフィールド・ハラム大学
論文Thou and You in Eighteenth-Century English Plays.査読有Nonomiya, AyumiToken: A Journal of English Linguistics3,,211-2342014年18世紀イギリスの戯曲における二人称単数代名詞thouとyouの使い分けについて論じた。thouとyouの使用率に最も大きな影響を与える要素は戯曲のジャンル(喜劇、悲劇)であった。登場人物の階級差も二人称単数代名詞の選択に関わっており、階級のより高い者がより低い者にthouを使用することが多かった。階級のより低い者がより高い者へと使用する例も散見されたが、話し手と聞き手の関係や文脈により説明が可能である。
論文What Happens When a Word Is Falling out of Use? Case Study on Thou and You in Henry Fielding's Plays査読有Nonomiya, AyumiTrack Changes4,,39-562013年10月
基調講演THOU and YOU in Eighteenth-century Plays野々宮鮎美5th Late Modern English Conference (LMODE5), University of Bergamo.2013年8月 ベルガモ大学18世紀イギリスの戯曲における二人称代名詞の用法について調査した。悲劇においてはthouの使用率が70%を超えるものが多く、喜劇では10%未満のものが大部分であったため、ジャンルが最も大きな影響を与えるといえそうだが、散文・韻文という媒体に着目すると、悲劇でも散文で書かれたものはthouの使用率が低いことが分かった。また、thouとyeはどちらも18世紀においては古風な代名詞であったが、yeの方が現れる環境が限られていた。
基調講演THOU and YOU in Henry Fielding’s PlaysNonomiya, AyumiSchool of English PG Colloquium2012年5月 School of English, University of Sheffieldシェフィールド大学
論文Imperative sentences in ten eighteenth-century English comedies査読有Nonomiya Ayumi近代英語研究27,,101-1192011年5月 18世紀イギリスの喜劇10篇における肯定命令文、否定命令文の用法について論じた。肯定命令文に関しては、登場人物の階級や性差がわずかながら肯定命令文の形式(do V, do you Vなど)に影響を与えることが分かった。否定命令文に関しては、18世紀全体で don't Vが多く使われていた。縮約形が多く使われているのは、喜劇が口語的なジャンルであるからだと考えられる。
論文An analysis of the Longman Advanced American Dictionary, New Edition: a pedagogical viewpoint査読有Kanazashi Takashi, Otani Tamaki, Nonomiya Ayumi, Miyako Ryu AramakiLexicon39,,18-992009年7月 29日0385-566XThe Longman Advanced American Dictionary (LAAD), 2nd EditionをLAAD第1版やイギリス版の辞書Longman Dictionary of Contemporary Englishと比較して論じた。調査項目は発音、収録語彙、囲み記事、用例、レーベル(品詞、文法・文系、カテゴリー(スラング、卑語など)、語源、口絵である。また、大学生を被験者として複数の辞書の使いやすさを比較するユーザー調査を行った。このうち、収録語彙、用例・囲み記事(コラム)・挿絵などの項目をLAAD第1版と比較しつつ調査した。
論文Gender and Imperatives in the Eighteenth-Century English Novel査読有Nonomiya Ayumi言語情報科学7,,65-782009年3月 1日10.15083/000165891347-8931本稿は、会話の男女差を18世紀英国小説における命令文の用法に着目して論じたものである。Lakoff(1975)及びTrudgill(1983)の「女性の方がより保守的で丁寧な言い方を好む」との主張に基づき、2.1節では命令文に添えて丁寧さを添加する語prayの男女別使用頻度、2.2節では丁寧さの異なる否定命令文の3つの形式(単純命令文"V not"、非縮約do命令文"do not V"、縮約do命令文"don't V")の選択頻度について調査する。さらに、それぞれの節において話者と聞き手との関係を調査し、それらと性別との連関関係をも見ていく。結果として、女性は男性よりも丁寧な形式を選択することが多く、同じ関係(家族など)でも男性の方が丁寧さの低い形式を使用するという結果が得られた。
基調講演18世紀イギリス小説の命令文に見られる性差野々宮鮎美第18回英語史研究会(京都大学)2008年10月 英語史研究会京都大学18世紀イギリスの小説10篇における肯定命令文、否定命令文の使い分けに関して調査した。肯定命令文は大多数が単純系 V ("Go!"など)であり、doやprayが付加された形式は登場人物の関係が近い場合に現れることが多かった。一方否定形はV not, do not V, don't V の3つの形式が混在しているが、18世紀後半になっても古い形のV notを多用する作者もいるため、時代的変化よりも作者の好みの方が影響が強いと言える。
芸術活動東外大言語モジュール:英語・文法モジュール浅井千沙子, 内田諭, 野々宮鮎美, 山口孝一郎2005年